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※「リチウムイオン電池の劣化診断」については、コラム第14回(リチウムイオン電池の劣化診断について)でもご紹介しておりますので、ご興味のある方はそちらも併せてご覧下さい。, 当社ではリチウムイオン電池のリアルタイム劣化診断について研究を進めており、下記の通り定期的に学会等で発表を行っております。, これらの発表を背景として当コラムでは、 1.リチウムイオン電池の劣化のメカニズム 2.劣化症状の発現プロセス 3.当社のリアルタイム劣化診断「過渡的差電圧法」 についてご紹介します。, リチウムイオン電池の劣化とは、充放電曲線の形状が変形する事です。例えば、新品の電池と容量80%まで劣化した電池との間には、図1の様な充放電曲線形状の違いが出てきます。, では、この違いはどのようにして生じるのでしょうか。ここでは大きく分けて2つのメカニズムが関わっています。, リチウムイオン電池には内部インピーダンス(抵抗)があり、充電や放電で電流を流すと余分な電圧が発生します。イメージとしては図2の様になります。, プラトー領域とは、充放電曲線上で電圧の変化が少ない平坦な領域の事を指します。図1の初期充放電曲線(実線グラフ)では、満充電(100%)側に明確な終点が見られないものの、概ね充電状態5%~80%程度の領域が該当します。これが、同じ図1の80%劣化モデル(点線グラフ)では、5%~60%程度と縮小しており、プラトー領域が縮小している事がわかります。このように、プラトー領域の縮小が充電末端を移動させます。, リチウムイオン電池の劣化症状は、電池容量、充放電効率(電力量基準)、最大出入力電流がそれぞれ低下する事で発現します。, これらの症状は全て、前述の過電圧増加とプラトー領域縮小のいずれか、または組合せによって発現します。これから、そのプロセスについて見ていきましょう。, 電池容量低下は、内部インピーダンスの増加とプラトー領域縮小の両方が相乗的に働いて起こります。実際には同時進行で劣化が進むのですが、ここでは理解の為にそれぞれ分解して挙動を説明します。, まず、過電圧増加の影響は図3の様なプロセスで発生します。初期の電池の充放電曲線は図3の青い実線および点線で表されています。劣化によって過電圧が増加すると、充電曲線は上に押し広げられていき、赤い実線のようになります。このとき、リチウムイオン電池は安全の為に充電上限電圧というものが設けられており、一定の電圧に到達すると充電が停止する機構になっています。そのため、赤い充電曲線は青い充電曲線よりもより低い充電状態で充電が停止する事になります。そうすると、放電もこの低い充電状態からスタートする事になるので、赤い点線のようになってしまいます。こうして、過電圧が徐々に増加し、充放電曲線も青→赤→緑→紫と変化していき、それに伴って充電末端が移動し、電池容量が減少してしまうわけです。, 次に、プラトー領域縮小の影響は図4の様なプロセスで発生します。初期の電池の充放電曲線は図4の青い実線および曲線で表されています。劣化によってプラトー領域が縮小すると、充電曲線の平坦な領域が短くなるので、充電末期の電池電圧の立ち上がりが早くなり、赤い実線の様になります。この時、充電上限電圧の影響で青い充電曲線よりも低い充電状態で充電が停止する事になります。そうすると、放電もこの低い充電状態からスタートする事になるので、赤い点線の様になってしまいます。こうして、プラトー領域が徐々に縮小し、充放電曲線も青→赤→緑→紫と変化していき、それに伴って充電末端が移動し、電池容量が減少してしまうわけです。, このような、過電圧増加とプラトー領域縮小の影響が相乗作用し、図1のように充放電曲線が変形して電池容量が低下します。, 充放電効率の低下は、主として過電圧の増加によって起こります。ここで問題となるのはグラフの横軸と充放電曲線とで囲まれる面積の変化です。この面積は、横軸の充電状態が元々Ahの単位を持っている事から、V×AhでWhという単位の電力量を表しています。従って、充電曲線で囲まれた面積と放電曲線で囲まれた面積の比率が充放電効率になります。 過電圧が増加すると、充放電曲線は図5左上→右上→左下へと変化します。そうすると、グラフの見た目でもわかると思いますが充電曲線の面積と、放電曲線の面積の比率が徐々に変化していき、新品で95.9%あった充放電効率が93.3%、90.7%と低下していきます。これが充放電効率低下のプロセスです。なお、充電上限電圧の影響で電池容量の低下が起こっており、このことも充放電効率の低下に影響を及ぼしています。, 最大入出力電流の低下は、主として過電圧の増加によって起こります。横軸を電流、縦軸を電池電圧とした、いわゆるI-V特性図を描くと、過電圧はグラフの傾きとなって現れます。図6に様々なSOC(充電状態)でのI-V特性図を示します。上段は充電電圧のI-V特性図で、左上図は新品、右上図は劣化品です。また、下段は放電電圧のI-V特性図で、左下図は新品、右下図は劣化品です。 まず、上段の充電電圧を見てみましょう。左上図の新品では、各SOCにおけるグラフの傾きは緩やかですが、右上図の劣化品では、過電圧の増加によって傾きが大きくなっています。ここで各SOCでの最大充電電流は、グラフを大電流側(図6では右側)に延長した線と、充電上限電圧との交点になります。従って、グラフの傾きが急になると、より低い電流で充電上限電圧との交点が形成される事になります。 下段の放電電圧も同様で、左下図の新品よりも右下図の劣化品の方が傾きが大きくなっています。各SOCでの最大放電電流は、同様にグラフを右側に延長した線と、放電下限電圧との交点になります。従って、放電でもグラフの傾きが急になると、より低い電流で放電下限電圧との交点が形成されることになります。 このようにして、新品では図7左図の様な最大充放電電流であったものが、劣化によって過電圧が増加し、図7右図の様な最大充放電電流に低下してしまうわけです。なお、この最大充放電電流は理論的な値であり、実際には電池内部材料の大電流耐性などの特性によって総合的に判断されるものですので、注意が必要です。このようなプロセスで最大出入力(充放電)電流が低下していく事になります。, リチウムイオン電池の劣化症状のうち、電池容量と充放電効率の低下は、定置用リチウムイオン電池の収益性に相乗的悪影響を及ぼします。従って、定置用リチウムイオン電池を最適に(エコで経済的に)運用するためには、リアルタイムに電池の劣化状態を診断し、そのデータをもとに制御を行う必要があります。当社では、 (1)特別な装置を使うことなく最小限のコストで診断する (2)定置用リチウムイオン電池を設置・運用しながらリアルタイムに診断する という事を目的として、「過渡的差電圧法」というリアルタイム劣化診断法を開発しました。この「過渡的差電圧法」は、 (1)定置用リチウムイオン電池に備わっているBMS計測データを利用する (2)運用中に周期的に発生する充放電パターンを利用する という工夫によって、上記の課題を解決しながら劣化診断する手法です。具体的には、図8の様に充電上限電圧と、一定条件で20秒放電した時の放電電圧の差を差電圧(これを過渡的差電圧と呼びます)として、図9の線形関係に基づいて電池容量や充放電効率を推定するものです。この過渡的差電圧は、BMS計測データから入手する事が出来ます。また、定置用リチウムイオン電池の場合には、昼間(ピークシフト運転の場合)または快晴の日の夕方(太陽光発電電力を蓄える場合)に満充電からの放電の機会があります。従って、あらかじめ図9の線形近似式を実験的に入手しておくことで、定期的かつリアルタイムな診断が可能となります。, 「過渡的差電圧法」の特長としては、適用対象が単電池だけでなく、組電池全体に対して適用できる事が挙げられます。また、分散設置された定置用リチウムイオン電池の集中遠隔劣化診断をする場合には、演算式が単純であること、扱うデータ量が少ない事から、CPUや通信ネットワークにかかる負荷が低く、世の中に広まりつつあるIoTの分野に好適な手法です。, 今後の学会発表等の情報は随時コラムにて公開させて頂きます。 本コラムの内容にご興味・ご質問等ございましたら、こちらよりお気軽にお問い合わせください。 また、過去の発表資料(平成27年神奈川県ものづくり技術交流会)を無料でお配りしております。ご希望の方はこちらよりご請求ください。. 利点と問題点 0000395838 00000 n
リチウムイオンバッテリの容量が減るのには、大きく3つの原因があります。 1つめの原因は、電極自体の劣化です。負極材料として使用されている炭素の分子構造が徐々に変化することで、炭素内に収められるリチウムイオンの量が減ります。 ガス定量装置の開発 0000021208 00000 n
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過放電時の放電の停止. 0000396002 00000 n
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る。当社は車載用電池で使用される材料系を中心に、発熱メカニズム解析を行ってきた*1)~*3)。 本稿では、リチウムイオン電池の過充電領域でのリアルタイム発熱計測・ガス分析、内部抵抗解 0000387590 00000 n
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こちらは、リチウムイオン電池の発火を科学的に考えるのページです。日刊工業新聞社のニュースをはじめとするコンテンツを、もっと新鮮に、親しみやすくお届けするサイトです。 0000438045 00000 n
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リチウムイオン電池の劣化とは、充放電曲線の形状が変形する事です。例えば、新品の電池と容量80%まで劣化した電池との間には、図1の様な充放電曲線形状の違いが出てきます。 図1.新品電池と容量80%劣化電池の充放電曲線形状の違い では、この違いはどのようにして生じるのでしょうか。ここでは大きく分けて2つのメカニズムが関わっています。 リチウムイオン電池には内部インピーダンス(抵抗)があり、充電や放電 … リチウムイオン電池の劣化メカニズムの解明 -電解液の分解反応機構-[Title] Degradation Mechanism of Li-ion Cell after Long Cycling----Mechanism of Electrolyte Decomposition Reactions---概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております) 0000023345 00000 n
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放電のしくみ 電池から電気を取り出すのが放電です。一般的な一次電池および二次電池内では、電気化学反応が起こっており、それによって電子が放出されます。では、電池内の電気化学反応によって、どの様にして電気が発生するのかを見てみましょう。 0000386372 00000 n
・リチウムイオン電池発火のメカニズム(原理)と対処方法 機械的な要因がトリガーの場合 ・リチウムイオン電池発火のメカニズム(原理)と対処方法 電気的な要因(過充電)がトリガーの場合 . 0000013643 00000 n
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① リチウムイオン電池の話:株式会社ベイサン ② 電力研究所 研究報告:リチウムイオン電池の劣化メカニズムの解明 ③ リチウムポリマー電池の安全性について. 0000017017 00000 n
商用1Ah級コバルト系リチウムイオン電池を対象に通常運転電圧範囲、過充電及 び過放電電圧域で長期の充放電サイクル試験を行い、容量半減電池について解体調 査を実施し、電解液の分解に着目した劣化機構を明らかにする。 主な成果 1. 0000387248 00000 n
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とりあえず、今日はここまでとします。 0000017445 00000 n
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リチウムイオン電池やリチウムイオンキャパシタ内部の発生ガス量は,その劣化に伴って変化します。 0000012517 00000 n
1 供試電池(セル) 試験には製造メーカの異なる A ,Bの2種類のパ ウチセルを使用した.どちらも正極材は三元系, 容量は約10Ahである. 2. 0000021140 00000 n
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リチウム二次電池 リチウムイオン電池 リチウムポリマー電池 エネルギー密度が高く普及が加速して いる電池です。 近年技術革新により安全性も向上して きております。 大型二次電池 nas電池 レドックスフロー電池 上記二次電池と比べ非常に大型の為、 0000045496 00000 n
リチウムイオン電池で特に問題となるのは、過充電と過放電。 このうち過充電に関しては、リチウムイオン電池は何重にも安全対策がとられているので、 よっぽどのことがない限りは大丈夫です。 リチウムポリマー電池は、リチウムイオン電池の一種です。正極の中のリチウムイオン が電解質を介して負極に移動することにより電気エネルギーを得ています。 正極材料としては、一般的に二酸化コバルト(LiCoO 2)が、負極として黒鉛( LiC 6)が 0000020956 00000 n
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リチウム イオン 電池 過 放電 についてもっと詳しく調べてみたい時は以下のリンクをたどってください. 0000023497 00000 n
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リチウムイオン電池における過放電とは、電池における放電終止電圧(カットオフ電圧)を下回った状態となることを指します。 バッテリーの放電時、通常は放電終止電圧まで放電すると、放電が止まる放電方式を採用しています(CC放電)。 ただ、放電時の設定電圧がシステム異常などによりおかしくなると、放電終止電圧を切っても放電し続けるケースがあります。すると過放電領域に入ることがあります。 以下で、コバルト酸リチウムを正極材に、黒鉛を負極材に使用したセルの放電曲線と過放電の関 … 0000009453 00000 n
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これは、リチウムイオン電池の充電、放電のサイクルで起きている 化学反応により熱が発生することが原因みたいです。 バッテリー劣化のメカニズム. 0000010488 00000 n
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というテーマで解説しています。 自己放電とは、電池に蓄えられている電気の量が時間経過と共に徐々に減少する現象のこと。主に二次電池において見受けられる現象で、電池の種類や保存環境によって減り方は異なります。 0000412507 00000 n
レーション反応)。ただ,過充電されると負極上にリチウム デンドライトが析出するため,厳密な充電制御が求められる。 グラファイト系負極は,グラファイト粉末を樹脂系バイン リチウムイオン電池の熱暴走メカニズムと高安全性技術 図.リチウムイオン電池の原理の模式図(一例) 充電反応. LEDアレイは、ちょうど3.7v位で適当に光ります。 1.2 リチウムイオン二次電池の発火事故へのトリガー 図3に電池の構成材料イメージを示す。 外部の充電電源により、電流の移動にともなって正極の結晶構造からリチウムイオンが電解液中に抜け出し、負極の炭素結晶層間に挿入されます。 放電 … 0000004776 00000 n
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リチウムイオン電池セルの電圧が0.6v以下になると、負極の塗布基材である銅箔の銅がイオンとなって電解液中に溶出し、 次の充電の際にはこの銅イオンが銅となって析出します。 0000395551 00000 n
ただ、リチウムイオン蓄電池が熱暴走の危険性のある製品であることは理解しておく必要があります。 そこで、リチウムイオン蓄電池が熱暴走を起こすメカニズムを解説します。 熱暴走の要因となるメカニズムは、大きく分けて次の2つです。 0000016880 00000 n
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リチウムイオン電池の安全性と要素技術鳶島真一,科学情報出版株式会社,p38 1.リチウムイオン電池セルによる事故発生のイメージ 温度上昇のトリガー 内部短絡・外部短絡・過充電・加熱(電池セル以外からの発火による)・複合要因 継続的な可燃性ガスを リチウム イオン 電池 過 放電 に関する参考になるサイトを集めました。リチウム イオン 電池 過 放電 についてもっと詳しく調べてみたい時は以下のリンクをたどってください. xref
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①リチウムイオン電池(lib)普及の歴史 ②libを用いた製品の構成例 ③libの構造、電極、セパレーター ④libの製造工程と各工程における安全性に関わる不具合要素 ⑤lib搭載製品設計/取り扱い上の注意点 ⑥libの不安全時の挙動 ⑦libと製品とのマッチング 0000017159 00000 n
日本一の『霊感 霊視 スピリチュアル専門 占いサロン』。tvや口コミで「めちゃくちゃ当たる!」と評判のカリスマ占い師が勢ぞろい!芸能人や大手企業の社長さんも御用達の安心個室サロンです。【霊感・霊視・未来予知・スピリチュアルタロット・その他】 0000023035 00000 n
リチウムイオン電池は、正極にリチウム金属酸化物、負極に炭素を用いた電池で、小型軽量かつ、メモリー効果による悪影響がない高性能電池のひとつである。鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池のように、環境負荷の大きな材料を用いていないのも利点のひとつである。 正極のリチウム金属化合物と、負極の炭素をセパレーターを介して積層し、電解質を充填した構造となっており、他の電池と比較して「高電圧を維持できる」という利点がある。 リチウムイオン電池はリチウム電池と違い、使い捨てでは …